秋は、「薫物方香揃い(練り香作り」がお薦め 2011.11月号



小学1年の頃、科学の本を読むのが好きだった。といっても、子供向けの漫画であるが。

その中で一つだけ覚えているのが、ブーへり虫(カメムシ)の屁のような悪臭は、フランスでは香水の香りに使っているということ。

 「へー?」ってことだが、これは世の中に役に立たない物はないということの証かもしれない。砂遊びの砂を無菌にする。どう考えてもおかしい。子供がハイハイをして立ち上がる。物には順番があるはずだ。ハイハイにはものすごく意味があるのだろう。立ち上がるための準備期間であり、その中には、菌を舐め舐め丈夫な体を作るということもあるのだろう。

 そのように悪臭も利用価値があり、お役に立っている。香水のようないい匂いの元には悪臭も必要だということ。

 無臭にする事が喜ばれる世の中になった事は大変嘆かわしいことかもしれない。それはいじめを徹底的に排除することが絶対いい事であるかのようになった。果たしてそうか。あまりにも酷いいじめは、排除しても、ある程度のいじめがあり耐えていくのを覚えることが、成人して努力する人間になるし、自殺防止にもなる。

 無臭だらけになると、本当のいいものを忘れがちになる。人間にはいろいろな人がいることを知って、全員が世の中の役立つことを見出していくことが、我々の役目であり、本物を知ることにもなる。

薫物方香揃いはこちら

本当でいいものは何かを知るために、この「薫物方香揃い」をお薦めする。

この「薫物方香揃い」とは、我国の香りの歴史上、現在まで用いられてきた代表的な香木や香料を集めたもの。香木や香料は全て微粉にして練り香やお線香状のものを作りやすく仕上げている。また、平安時代の御公家様の貴重な練り香のレシピ(調合票)をお付けし、千年前の香りを楽しむこともできる。

 またご自分で工夫し、新しい香りを創造するのもまた楽し。

 この調合票は、もちろん各名家の秘伝として代々伝承される以外、門外不出のものだったが、鳥羽院の蔵人、藤原範兼が勅命を受け著したもので「薫集類抄」という。

この「薫集類抄」を知ることで、源氏物語の世界をご自分で創香されたし。