大河ドラマ「江」。信長・秀吉・家康と興味深い人物が豊富に出てくる時代背景で、いかに表現できるかが、男としては、楽しみである。豊川悦司の信長、とにかく違和感を感じさせぬ、素晴らしいキャスティングだと思う。

 

もっと素晴らしいのは、久々の鈴木保奈美のお市の方。

絶世の美女、信長の妹。今までは、美人で有名な女優さんを使ってはいたけど、どこか違和感があった。しかし美女というだけでなく、信長の肖像画や彫り物を平均化すれば、その信長に似ている。そして、演技も上手い。

信長にはいろいろなエピソードもあるが、面白くするためであり、後の研究で、事実はこうだというのがある。本当はどうだったかという判断は、我々の経験からくる直感に頼らないといけないが、この脚本家は、真実に忠実なところが伺える。

 

因みに、どの場面かというと、小豆を使って「袋のねずみ」・・ということを兄信長に知らせたという、有名なシーンを、実は、下女のアイデアで実際には伝えなかったというシーンや、にっくき裏切り者の義弟浅井長政達の髑髏を杯にしたという残虐な信長だとイメージで使うところを、実は、「勇気ある武将を称えて、戦が終わり、一献差し上げた」というシーンを作らせている。

 

また、戦いは早く終わらせ、平和な国づくりを願っているのが信長だとイメージを変えている。しかしそれが本当だと思うエピソードとして、「百姓をいじめている武士を見て、俺たちはこの人たちのために戦っているのだと言って、その武士を諌めた」というのがあるので恐らく、今度のイメージの方が本当であろう。

 

そして信長のイメージを勘違いさせているのは、「天下布武」である。これは「武力で天下を治める」という意味に捉えている現代人が多いが、これは「春秋左氏伝」に出てくる言葉で、「武の七つの目的を備えている者が、天下を治めるにふさわしい」という意味で、その「武」の意味は、「弋(ほこ)」を「止」止(と)めるという意味で、「武器を持って戦いをやめる」ということなのである。

 

この「江」でも少し近い事を言っていた。

ただ間違いは、「天下」を「日本国中」という意味ではない。もっと広い意味であり、実際に、ヨーロッパからの脅威を知っていた信長は、ルソンからヨーロッパまで平らげようと考えていたという。

 

実際に秀吉が朝鮮を通り、中国まで攻め上げようとした、秀吉はスペイン国王(フィリッペ2世)との手紙のやり取りで、ヨーロッパが攻めてくることが分かったという。

その後、家康は、朝鮮との調停を速やかにし、ある教会が、日本を攻める計画があるのを知り、檀家制度と5人組を作り、鎖国していったのを考えれば、当然のことであろう。

 

そうであれば、四話に出てきた、「もうすぐ、天下統一し、平和になる」という、信長の言葉はありえない。(平和を望むために・・というのは本当であろう)

 

私は四話まで見たところで、「本能寺の変」のシーンはまだ見ていないので、今晩が楽しみだ。

でもこの脚本家は洒落ている。

香道をきちんと演出している。

それに、「東大寺」本来は、「蘭麝待(らんじゃたい)」という、正倉院の第一の御物の事を話題に出した。

いくら信長でも、これをお江だけのために焚くはずはないし、それをやることも無いだろう。

 

香道指導に、三条西堯水とある。この方は、香道お家流23代御宗家であられる。

実は私の、お師匠さんの息子さんである。22代御宗家を三条西堯雲と申された。この方は、今上天皇陛下のお従兄弟さんになられる。

この御宗家が、天皇陛下の前で「蘭麝待」を焚いたといわれた。それはそれは素晴らしい匂いで、かなり遠くまで香りが聞こえてきたというお話だった。

 

この23代御宗家の襲名披露(もっとちゃんとした品のある言葉でしたが)のパーティにお呼びいただいた。

また横浜のご自宅にもお邪魔したこともある。

私どもの、「円空」というお香を気に入っていただいて、誉めて頂いた事があった。

最高の記念である。

 

お江の話に戻ると、「篤姫」でも香道が頻繁に出てきたが、その時の香道指導も23代堯水御宗家である。

よく調べてみると、脚本家が同じである。

もっとよく調べてみたら、22代堯雲御宗家は、「独眼流正宗」の時の香道指導をなされていた。

 

 

さあさあ今夜の「本能寺の変」が楽しみである。

ああ、信長が。ゼウスを越えた存在になるとは、神になることではなく、

全世界を制覇し本当の天下人になるということか?

 

「天下布武」に感謝感謝!!