「お香は邪気払い」 2011.2月号
屠蘇(とそ)とは、一年間の邪気を払い長寿を願って正月に呑む薬酒。
呑み方の順番は、若い者から呑むのが、正式である。これは、中国の習慣。
若い者が毒味をするという意味合いである。しかし日本では、明治に入り、家長から呑むことも行われるようになる。
屠蘇は、三国志で有名な曹操の軍医も勤めた名医“華侘”の処方で、「本草綱目」に記されている。最近は、トリカブト等の、作用の強い生薬は外されている。
江戸時代に、医者への薬代の返礼として、屠蘇散を配るようになる。今でも薬屋さんが配るのは、その名残だろう。
薬酒のお屠蘇は、西日本地方に限るという話もある。
節分とは、立春の前日で、元々季節の変わり目をいい、立夏、立秋、立冬の前日もそういった。
節分の日は、豆まきをして「鬼(邪気)」を払う。豆まきは、鬼の目“魔目(まめ)”に目掛けて豆を投げれば“魔滅(まめ)”すなわち魔滅する。
また、古来鬼は“陰(おに)”といわれ、姿の見えない災いなどを総合的に指す言葉だった。
お香のバイブルともいえる、お香の効用を一休禅師が纏めた「香十徳」というものがある。
この中にも、“お香は邪気を払う”というところが在る。
節分に臭い匂いで邪気を払うのではなく、いい香りで、鬼神の心をも和ませることになる。
節分で豆まきが終了すれば、お香を焚き、部屋の清浄化をお薦めする。
天年堂には、懐中できる「邪気払い」という匂い袋があるが(当社独特の工夫在り)、本当に、見えるものが見えなくなったという、お人もおられる。お試しあれ!