これは、高杉晋作の辞世の句である。

下の句、「すみなすものは 心なりけり」と付け足したのは、彼と親交があった野村望東尼である。

漠然と生きているだけでは世の中は面白くもなんともないが、その人の心がけ次第では愉快でたまらないものになる、という意味だ。そして、世の中がつまらなければ、自分で変えるべきだと晋作が訴えているようである。

 

この間亡くなった谷啓さん。名前の由来は、アメリカのエンターティナー「ダニーケイ」から来たのは間違いないが、芸風はコメディアンのアボットとコステロのルウ・コステロに似ているという。(ルー大柴のルーはこれから来ているのでは?)

所属していたクレージーキャッツは「シャボン玉ホリデイ」という番組で、日本で最初の本格的なエンターティナーの番組を作った人たちだろう。その中で、目立たない事を信条にしていたという。

 

しかし目立っていた、それは「ガチョーン」である。よく似た芸風に、クレージーの弟分である、ドリフの志村けんの「アイーン」があるが、これは誰がやっても顔さえ真似すれば、それなりに成立する。

 

ところが、「ガチョーン」はどんな人がやってもサマにならない。あの独特の間・恥ずかしがりながら、目をしょぼしょぼして照れ笑いがあるが、言う時は言う。これが正調ガチョーンである。そのコツをTVで「森羅万象宇宙全てのものを飲み込むように」という意識でやり、やられたら、周りのものは全て倒れる・・これがコツ。しかし、あのとぼけた顔は誰にも真似できない。それが谷啓である。

 

この人は、普段からとぼけていたという。むしろ普段の生活のほうが面白かったという。

たとえば、自宅が火事になり、これを録画しようと、ビデオを家に取りに行ったが、テープがなくて録画できなかったとか、火事の日その火事見舞いに来た友人とその場でマージャンをしたとか、東京オリンピックのとき、選手団と同じようなユニホームを着て、町をうろちょろし、オリンピックの選手団と間違われようとしたとか、いろいろエピソードが多い。

 

こんなことは、やったら面白いなと話ではするが本当にする人は余りいない。TVでもないのに、本当にやってみる、これは彼の、コメディアン魂であり、恥ずかしがり屋の人へのサービスなんだろう。

 

政治家で革命家である、高杉晋作の辞世の句にあるように、「世の中が面白くなければ、自分が動いて面白くする」事を、谷啓さんも、ミュージシャンでありながら、コメディアン・エンターティナー・役者と人々を楽しませるためにやってこられた。

 

目立つのが嫌いな谷さんが、ここまで、最前線でやってこられたのは「ガチョーン」が「森羅万象宇宙全てを飲み込む」という大胆な感覚があったからだろう。

 

革命家である、高杉晋作は1人でもこの日本を変えてやろうという精神が、または大胆な彼の行動が、「桂・坂本・西郷」を動かし、大政奉還に繋がっていった。

 

上杉謙信は「生中に生なく、死中に生あり」と言った。

 

この気持ちがあれば、我々商売人はどんな世の中だろうとも、誰にも頼らず政治の所為にしないで、死に物狂いで頑張ればよい。

政治家は、我を捨てて、国のために改革に当たれば良い。もちろん死に物狂いで。

自分たちで、自分の使命を面白く演出したいものだ。

 

このブログ、今日で丁度一年である。去年の秋の彼岸に始めた。この彼岸に世の中を面白くした人たちに、感謝し、冥福を祈る。

 

一年間全てブログを読んでくださっている人もいると聞いている。

この面白い人たちに、「ガチョーン!!!」

そして、皆さんと森羅万象宇宙全体に感謝感謝!!!